ほのかなピンク色した桜をイメージして出来た釉薬で稲穂のワラ灰を原料としています。生地土に影響されやすい釉薬で赤土系の鉄分が多い土では変化に富んだ野趣あふれる風情があります。また、鉄分が少なくきめが細かい白土系では本当にきれいなピンク色でかわいらしさと上品さが感じられます。
きなり釉は長石とワラ灰系が原料の新しい釉薬です。青白っぽいようで生成り色のようなややピンクがかっているところもあって、濃掛け薄掛けで変化が激しい不思議な釉薬です。
乳白色の釉薬で稲のワラを灰にしたものが原料。昔から唐津系の窯では斑唐津と呼び珍重されたが、乾太郎窯では現代性をイメージして夏の青空にぽっかりと浮かんだ入道雲のように、真っ白な釉薬に仕上げました。
和蠟燭の原料は櫨の木から採れます。櫨は秋になると紅葉して山里を赤く染めていく美しい紅葉も、過ぎれば朽ち果てていきます。地面に広がった赤い落ち葉を見て、この風景を陶器に表現できればと思い、櫨の落ち葉を拾い集めて燃やした灰を釉薬の原料にしました。その山吹色した陶器はあたかも秋のイメージを写し撮ったかのようです。
櫨の落ち葉は集めても少量で原料不足を補うため、これに代わるものがないかと思ったのが「櫨の実」を使うきっかけでした。実を搾った殻を燃やした灰が原料となります。薄墨色から青っぽい黒色まで、変化に富んでいて釉薬の特徴として「雲の切れ間から光が射す」ようにぽっかりと一部分が抜けることもあります。
「黒ムラサキ釉」は、きなり釉を研究の過程で出来た釉薬で、木灰と長石だけで色付けの成分は入っていませんが黒く発色する釉薬です。
その他、釉薬掛けが濃ゆいと青色に薄いと緑色になる「青緑釉」、釉薬掛けが濃ゆいと黒色に薄いと赤色になる
「赤黒釉」(キラキラと結晶が入る)二種類の釉薬があります
◆ 自然の灰や土石原料を使い、オリジナリティーのある焼き物を作り続けたいと願っています。